PROJECT 01天神ビジネス
センター
OUTLINE天神ビッグバンの幕開けを飾る第1号プロジェクト
福岡市地下鉄空港線「天神駅」直結の「天神ビジネスセンター」は2019年9月に竣工しました。地上19階、延床面積61,100.34㎡、ワンフロア最大716坪という、福岡初の大規模なフロア面積を有する世界基準のオフィスビルとして、国内外から注目を集めています。
ピクセル構造のガラスが幾重にも重なったユニークな外観で、完成と同時に天神エリアのランドマークに。ビル内部は大通りの交差点に面した部分の角を大胆に削り取ることで、自然光を取り込んだ開放的な空間に仕上げています。また、新耐震基準の1.5倍の耐震性能を誇る大規模免震構造を採用し、自然災害や大火災、テロ攻撃といった緊急事態時でも事業が継続できるBCP対応にも万全に備えています。
そんな先進的なデザイン性と安全性の高い最新設備を導入した天神ビジネスセンターは、福岡の大規模な再開発計画「天神ビッグバン」幕開けの象徴としての一面も。福岡地所は「福岡をおもしろく」というビジョンを体現するプロジェクトとして、この開発・運営に一から取り組んできました。
CHALLENGE進化する福岡の象徴として相応しいオフィスビルを
天神ビッグバンとは、福岡市の再開発を促進すべく、ビルの容積率や高さの緩和を認める時限措置のこと。アジアの拠点都市としての役割・機能を高め、新たな空間と雇用創出を目的に福岡市が主導する大規模な再開発計画です。
福岡をおもしろくするために、世界基準のオフィスビルをつくって企業を呼び込み、福岡に新しい産業を創出する。
天神ビッグバンは、福岡地所のそんな理想を実現する絶好のチャンス。前例がなく、他事業者が躊躇する中でも、“ファーストペンギン”として先陣を切り、世界基準のオフィスビルの建設にグループの総力を注ぎ込むことにしました。
しかしながら、ビルが完成したとしても、既存の九州域内企業の移転にとどまれば、天神ビッグバンを牽引し、天神に新たな経済のエコシステム(※)を創出することはできません。そのためには、新しいムーブメントを巻き起こせる企業を域外からも誘致する。たとえば、GAFA級の企業を日本、そして世界から迎えるために、これまで福岡にはなかった大規模かつ斬新なデザインのオフィスビルに挑戦することが、このプロジェクトの大きなミッションとなりました。
(※)複数の企業が商品開発や事業活動などでパートナーシップを組み、互いの技術や資本を生かしながら、開発業者・代理店・販売店・宣伝媒体、さらには消費者や社会を巻き込み、業界の枠や国境を超えて広く共存共栄していく仕組み。
SOLUTION国際コンペの開催と、急ピッチのコロナ仕様
天神ビッグバンの幕開けを飾り、福岡経済の起爆剤となるデザインを求め、国内外の建築事務所5社による国際コンペを開催。世界の名だたる建築事務所が名を連ねるコンペは建築家の間で度々話題に上り、天神ビジネスセンターは建設前から注目を集めることとなりました。
国際コンペの結果、採択されたのは世界的な建築設計事務所である「OMA」。「クンストハル美術館(オランダ)」や「シアトル中央図書館(アメリカ)」、「CCTV(中国中央電視台)(中国)」など、各国でその力を認められる彼らのデザインは、有名建築雑誌が竣工前から掲載するほど、斬新さと期待にあふれていました。2つの通りの角にあるファサードを切り崩すようにデザインし、オフィススペースとパブリックスペースを融合させた設計は業界で高く評価され、日本のみならず世界から一目置かれる存在になっています。
特徴的なデザインを損なわず建設することはもちろん、完成までには予測不能の困難もありました。とりわけ重大なファクターとなったのが、着工して地下工事が3分の1程度完了しているタイミングで感染が拡大した新型コロナウイルスです。当時はテレワークや在宅勤務化が進み、オフィスの存在意義自体が疑問視されるようになりました。リーシングも見直しを迫られる中で、福岡地所では九州大学や国内空調メーカーと感染症対策について幾度となくディスカッションを実施。安心して集えて、予期せぬ出会いから化学反応が起きる新しいオフィス空間の実現を目指して、エビデンスに基づく感染症対策にも徹底的に取り組みました。空調設備の見直しはもちろん、物理的な接触を減らすための最新機器の導入もそうした取り組みのひとつ。結果的に、当時の天神ビジネスセンタービルは、世界で群を抜いて感染症対策が施されたオフィスビルとしても認知されることとなりました。
こうして、デザイン性と機能性を両立して完成した天神ビジネスセンター。現在、総貸床11,979坪に対して福岡域外からの移転および新設が5,708坪と、企業を呼び込む天神ビッグバンの第1号プロジェクトとして、成果を上げています。
FUTURE新しい産業や企業を呼び込みつづける街づくりを
着工途中に新型コロナウイルスの感染が拡大し、生活様式や働き方が様変わりしたことを受けて、天神ビジネスセンターではオフィスのあり方をハードとソフトの両面から見つめ直しました。たとえば、出社する目的を「ミーティングのための場所」や「偶発的な出会いで生まれる創造性と、それに伴う効率性」と再定義したのもそのひとつです。
これからも社会は変化しつづけます。まだ見ぬ新しい働き方を実現できる最適な「ネクストジェネレーションワークプレイス」を提供できるよう、世の中の動きに着目し、これからも人が集う目的を提案していきたいと思います。
東京やニューヨークといった大都市ではできない取り組みに挑戦し、地方都市のロールモデルとなり、福岡から日本全国および世界に発信していく。そして、継続的に新しい産業や企業を福岡に呼び込み、福岡を大きな夢がかなう街に成長させていく。それこそが、福岡地所の使命です。
ABOUT詳細
所在地 | 福岡市中央区天神一丁目10番20号 |
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竣工 | 2021年9月 |
構造・規模 | S造、一部RC造、地上19階・塔屋2階・地下2階 |
敷地面積 | 3,917.18㎡(約1,185坪) |
延床面積 | 61,100.34㎡(約18,483坪) |
URL | https://tenjinbc.jp/ |
TEAM構成
設計 | ■基本設計 株式会社日本設計 ■実施設計・施工 前田建設工業株式会社 |
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外装デザイン | 重松象平/OMA |
インテリアデザイン | Gwenael Nicolas/CURIOSITY |
建築主 | 福岡地所株式会社 |